重症便秘は下図のように大きく4つに分けられ、さらに7つの原因別に分類されます。
重症便秘
これは更に病態別に40疾患に分けられます。
各職種が協力して精密な検査を行い正しい診断をつけて、それに応じて必要な各種治療を組み合わせて行います。
大分類 | 中分類 | 病名(状態) | 症 状 | 検査と治療 |
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器質性便秘 | 先天性便秘 | 鎖肛 | 生まれつき肛門が無く、新生児期から小児期にかけて手術によって肛門が作られた。成長したあとも、中には排便のコントロールができずに便がもれる、ガスがもれる、下着が汚れるなどの症状がある。 | 詳細 |
ヒルシュスプルング病 | 生まれつき直腸が動かず、このままだと腸閉塞になるので小児期に神経のない直腸を切除する。しかしこれでも全ての人に問題がない訳ではなく、成人になっても多少便が漏れたり、下着の汚れが続く。かえって便が出にくくなる場合もある。 | 詳細 | ||
二分脊椎症 | 生まれつき背中の下の方(仙骨)の骨の出来具合が不完全で、脊髄神経の形成が悪く、排尿障害、排便障害を伴う。 | 詳細 | ||
総排泄腔遺残症 | 先天的に肛門・膣・尿道が同じ穴に開いており、それぞれが出来るだけ別れるよう何回かの手術を行ってある。しかし、いろいろな障害を伴っている。 | 詳細 | ||
症候性便秘 | 続発性 | 腸の働きを悪くする種々の病気や状態があって、そのため便が出にくくなったもの。 | 詳細 | |
レクトシール(直腸膣壁弛緩症) | 成人女性で肛門の奥で前の方に便が詰まって出にくい。そこで特徴的な動作として、膣を抑えて便を出している。 | 詳細 | ||
不顕性直腸脱(直腸重積症) | 力んでも便が出にくい。肛門の奥で直腸に便が詰まるという感じで出にくい。しかし直腸が外に出て来る(直腸脱)わけではない。 | 詳細 | ||
粘膜脱症候群(MPS) | いつも便が出たいという感じがあるが便は出にくい。便に血液が付くこともある。脱出や痛みはない。 | 詳細 | ||
孤立性直腸潰瘍 | いつも便が出たいという感じが強く不快感が強いが便は出にくい。出血があるが脱出はない。 | 詳細 | ||
直腸脱 | 力むと肛門から直腸が大きく出てくる。普通の痔よりも大きく全周性に出る。便が出にくいが程度は軽い。はじめは元に戻るが出っぱなしになる。直腸が出てくると肛門のしまりが悪くなりさらに出てくるようになる。 | 詳細 | ||
直腸狭窄 | 便が肛門の奥でつかえて出にくい。 | 詳細 | ||
腫瘍性 | 結腸、直腸や肛門に生じた腫瘍が大きくなり腸を狭くして便が出にくくなる。 | 詳細 | ||
骨盤性便秘(直腸狭窄を除く) | 直腸狭窄の腫瘍以外に骨盤内の種々の病気で便が出にくくなる。 | 詳細 | ||
痔核・直腸粘膜脱 | 痔核・直腸粘膜脱が大きくなって脱肛になる。力むとこれが肛門をふさいで便が出にくくなる。出血(鮮血)を伴うことが多い。痛みはあっても軽い。 | 詳細 | ||
裂肛 | 肛門に裂け傷ができて痛くて便が出せない。繰り返して切れると肛門が狭くなり便が出にくくなる。排便後も痛みが続く。出血が少しある。 | 詳細 | ||
痔瘻 | 痔瘻が肛門を取り囲んで便が出にくくなる。膿が出る、痛みを伴うことがある。 | 詳細 | ||
IBSの便秘型・便秘下痢交代型 | ストレスによって腸管が過敏になって便が出にくい。 | 詳細 | ||
直腸過敏症(IRS) | ストレスのため直腸がけいれんを起こして便が出なくなる。残便感が強い。 | 詳細 | ||
排便障害による皮膚障害 | 肛門の周りが便で汚れ、かぶれている。不潔のままにしていることによって生じる。 | 詳細 | ||
IBD | 炎症性腸疾患に伴う排便障害 | 詳細 | ||
神経性便秘 | パーキンソン病 | 成人で、手が震える振戦、歩行障害、動作緩慢などの症状で発症する。安静時に手が震えるのが一番代表的な症状、腸管の働きの障害としては排便がしづらくなる。 | 詳細 | |
認知症 | 物忘れがひどく、ちゃんとトイレで排便が出来なくなり洩らしてしまう。 | 詳細 | ||
糖尿病 | 糖尿病により直腸や肛門の神経が悪くなり便が出にくかったり便が漏れたりする。 | 詳細 | ||
機能性便秘 | 生活習慣性便秘 | 神経性食欲不振 | 若い女性がやせ願望のため極端に食事の量を減らし、便秘になる。 | 詳細 |
生活習慣性 | 不規則な生活特に不規則で不適切な食事と排便とによって便が出ない、出さない状態 | 詳細 | ||
本態性便秘 | 便秘で、その原因がはっきりしないもの。 | 詳細 | ||
精神因性便秘 | うつ病で腸が動かなくなり、便が出ない。 | 詳細 | ||
排便機能障害型便秘 | 肛門挙筋症候群 | 力んでも肛門の奥が閉まった感じで便が出にくくなる。肛門をゆるめようと思ってもゆるまない。 | 詳細 | |
奇異性便秘 | 肛門を閉めようとしても締まらずに開く、反対に開こうとしても閉まり開かない。便が出にくいくせに洩れるという困った状態。 | 詳細 | ||
会陰下垂 | 力むと骨盤内の臓器が下がる。肛門、直腸、膣、子宮、膀胱などが下がって出てこようとする。直腸を腹圧で押す力が弱くなって便が出にくくなる。 | 詳細 | ||
神経因性骨盤臓器症候群(NIS) | 1、便が漏れる。2、逆に便が出にくいといった反対の症状が交互にまたは同時に現れる。これに加えて3、肛門の奥が痛む4、腹が痛む、はる5、腰が痛むなどの5つの症状のうちいくつかが表れる。6、尿が出にくい、逆に漏れるなどの複雑な症状を伴うことがある。 | 詳細 | ||
直腸肛門の運動と知覚の障害(NISを除く) | 便が出しにくい、逆に漏れる、さらに便が降りてきて出口に来ているのに分からない。そのくせ便が残った感じがするなどの症状。 | 詳細 | ||
加齢によるもの | 高齢、特に60才後半から70才を過ぎると便が出にくくなる人が急増する。 | 詳細 | ||
医原性便秘 | 薬剤性便秘 | 下剤性便秘 | 刺激性下剤(センナ・アロエなど)により腸が収縮して便は柔らかいのに便が出にくい。薬を飲めば飲むほど便が出にくくなる。その他いろいろな内服薬に便秘作用を有するものが多い。 | 詳細 |
薬剤性 | 便通の薬以外でもいろいろの薬の副作用として便秘になる。(高血圧薬、向精神薬、抗コリン剤等) | 詳細 | ||
術後障害 | 腸の術後障害 | 大腸や小腸の手術のあと便が出にくくなる。同時に腹がはったり、痛んだりすることが多い。 | 詳細 | |
直腸の術後障害 | 直腸の手術をした後、漏れたり、逆に便が出にくくなったりする。 | 詳細 | ||
肛門の術後障害 | 肛門の手術(痔核の手術、裂肛の手術、痔瘻の手術、その他)をした後で便が出にくくなる。さらに痔が出てくる、出血する、痛みがある、便が漏れるなどの症状を生じることもある。 | 詳細 | ||
小児性便秘 | 遺糞症 | 小児で排便の習慣が付かず不随にあるいは意図的に下痢便をもらす。しばしば下痢と間違われる。 | 詳細 | |
小児性便秘 | 小児で排便をコントロールする習慣がつかず便が出にくい。 | 詳細 |
40種類もの原因の違った重症便秘についてそれぞれの病態を明らかにし、各職種のチームによる病態に適した専門的な治療を高いレベルで効果的に行います。
特に便秘の原因が分からず便秘が治らず苦しんでいる人、いくつもの施設で治療を受けたが改善が見られなかった人、便秘の程度がひどく苦しくて外出できない人、通学できない人、仕事につけない人、さらに先天性を含む若い頃からの便秘の人、便秘のためにうつ状態や不安で感情がコントロールできない方など日常生活でお困りの方はぜひご相談ください。